19世紀後半、霧深いロンドンの街。寒いのに湿度が高い。富める者と貧しいものが歴然とし、生れ方でほぼ人生のすべてが決まった時代。
大好きな未解決事件の連続殺人鬼。
切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の作品。
まだ若い警部（ジョニー・デップ）は妻と子供に先立たれ、心の虚しさを埋めるためにアヘン窟に入り浸る。
そんな警部を心配して引っ叩く年配の巡査部長（ロビー・コルトレーン）。その二人の優しさと苦しさがやりきれなくて悲しい。
ロボトミーやらイギリス王室やら、フリーメーソンやらエレファントマンやら、色々盛り込み過ぎて若干の無理があり、もっと切り裂きジャックの心の内の必然性を深く描いて欲しかったような気がするが。
映像は色濃く質感もいい。BGMもgood！
最後、二枚のコインを手に握りしめた警部(ジョニー)の死に様が切ない。
ただただ、ジョニー演じる退廃的なアバーラインの色香と、暗い色調のセットが際立っている面に、心強く惹かれる作品。
アバーライン警部の脇役、ゴットレー巡査部長を演じるロビー・コルトレーンが、いい味を出している。