透華さんのブログ(106)
透華(29)
和歌山・ツンデレ系

アイ・アム・サム

20/1/2 00:05
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本作には様々な意見があると思うが、まず作品としての完成度・独創性・画調・人物造形らは最近のハリウッドの中で出色の丁寧さ。ここまできちんと作るには作成側に全力をそそぐ意思なくしてありえない。そして知的障害者とその子供と育成の可否というあまりにシリアスな問題なのだが、本作の特筆すべきは勧善懲悪の視点に立っていない点だ。~私は劇場での初見、検事側の男性の寂しさと切なさと深い慈愛をもった眼差しの芝居に、はっとさせられた。

特典ディスクでショーンペンも語っていたが、彼の演技が単なる高慢なエリートであったらこの映画はグンと薄っぺらいものになったろう。「気持ちはわかる。一緒に暮らさせてあげたい。でも・・・」その煩悶は、あの眼差しに深く、苦く結実していた。

DVD購入から数回観ているが、その印象は変わらない。~批判は覚悟の上だが--私自身類似のケースが身近に生じた事があり、知的障害の方とその子育てというのは一時の同情で片付けられるほど簡単ではない。双方が誠実であるほど、愛していればこそ、愛とともに苦しみも深まる。それは残酷だが否定できない事実だ・・・。~この奇跡を現実とするためには、第三者である私達の「愛」が試される。サムとルーシーが幸福であるためには、傍観者の感動ですまされない事を改めて考えてしまう。『愛こそすべてよ』ルーシーの想いに応えんがための愛と努力は我々にこそ試される試練なのだと思う。
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