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透華(29)
和歌山・ツンデレ系

パブリック・エネミーズ

23/5/9 13:19
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映画公開当時、ジョニー・デップが格好良過ぎと言われた作品。
それまでの不気味系喜劇系ヒーローのイメージが強かったジョニー・デップが、初めてタフな格好いい役を演じた作品だったと思う。
彼の演じる1930年代実在の銀行強盗デリンジャーは人気が高く何度も映画化されてきたが、この作品では恋人ビリー・フレシェット役にフランス人で49年ぶりとなるアカデミー主演賞を受賞したマリオン・コティヤールを配し、マイケル・マン監督はそれまでのデリンジャーものとはかなり違った作品に仕上げている。

この作品のストーリー構成上の大きな要素になっているのは、1926年に作られた曲「bye bye blackbird」で、デップがマリオン・コティヤールとダンスするシーンで流れるが、人気ジャズ歌手のdiana krallがステージ上で実際に歌ってる姿が映っている。(25分頃)。
「bye bye blackbird」という言葉は作品最後の部分でも使わるが、この作品に普通のギャング映画には無い文学的雰囲気を与えている。

演技の観点からの一番の見所は、開始から2時間9分後の最後の2分間で、マリオン・コティヤールはFBI捜査官役のスティーヴン・ラングを相手に、顔の筋肉は動かさず、ほんの僅かな目の変化だけで様々に揺れ動く感情を見事に表現しており、30歳そこそこでのアカデミー賞受賞も納得できる。
最近作の映画マリアンヌでも、最後のシーンでブラッド・ピットを相手に複雑な感情表現演技を見せてるが、極度に抑えた無表情演技のスティーヴン・ラングを相手にしたこの作品でのシーンの方が、より繊細な感情変化が感じられた。
なお銃器や車は当時実際に使われたのと同じもので、銃撃シーンもマイケル・マン監督らしくリアリティーが高く、ヒートでのアサルトライフルによる現代の銃撃戦描写とは赴きを変えた、当時ギャングとFBI双方が使ったThompson submachinegunによる銃撃戦シーンはなかなかの迫力である。
FBI捜査官役のクリスチャン・ベイルが使うドイツMauser(モーゼル)社製Model98 Sporting Rifeも印象的だが、冒頭(9分頃)での、同ライフルの特徴であるダブルセットトリガーの操作を、アップでじっくり撮影したシーンは、この作品全体のリアリティー描写レベルの高さを視聴者に予感させる。
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