透華さんのブログ(106)
透華(29)
和歌山・ツンデレ系

完全なる報復

19/10/9 22:26
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家族水入らず、楽しい夕餉の筈だった。
突然乱入した二人組の男に妻子は惨殺され、夫は刺され…
その後の耐え難い喪失感の中に生き残った。

 復讐心に火をつけたのは、司法制度だった。
被害者の唯一の願いは公正な裁きが下される事、ただそれだけ。
自分という目撃証人も居る、検察を信じた夫。
しかしこれが裁判なのか?司法取引をまざまざと見せつけられる。
相棒に死刑判決が、主犯の男はまんまと生き延びた。
 妻子の無念が晴らされることは無かった。
そこでは手慣れた“犯罪の処理”が行われていた。

 十年の月日が経ち死刑執行のその日、復讐の幕が切って落とされる。

 犯人の二人を殺害後、被害者の夫クライドは逮捕される。しかしこれで一件落着とはいかなかった、事件の関係者が次々と殺害される。
クライド逮捕拘束後も、復習が続いている、一体誰が?
 残忍な手口、そして十年という長い時間その時を待った事、
その復讐心に微塵の迷いもない事に、さらなる恐怖を感じます。
ターゲット一人一人を綿密に調べ上げ、周到に用意された復讐、
検察も警察も後手後手に回る一方。
そしてある情報筋から、とんでもない男が相手だと知る事に…

 この物語では、誰もがこうあるべき、こうあって欲しいと願い望む正義が、
正しく機能せず、存在すらしていなかった ... 殺人鬼クライドの叫び。
量刑や判決も重要だが、そこに辿りつくまでのプロセスを重要と考える、
検察と共に戦いたいと願う被害者や遺族、それを司法取引で締め出した結果の悲劇だった。




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