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和歌山・ツンデレ系

刑法第39条

20/6/24 20:29
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刑法39条(心神喪失及び心神耗弱)「1.心神喪失者の行為は、罰しない。2. 心神耗弱者の行為は、その刑を減刑する。(現行どおり)」の是非について問う作品。

主人公は高校生のときに、通りすがりの少年(15歳)に妹を殺害される。
それから15年後、その殺人者は心神喪失状態であったという理由から罪に問われず、一般市民としての生活を送っている。
それを知った主人公は、他人になりすまし、復讐を図る、というストーリーである。

  刑法39条は、憲法11条(基本的人権の享有)「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」を具体的に実現する方策のひとつとして、存続させる必要がある。
しかし、心神喪失者や心神耗弱者の刑の免除や減刑をもって事件の終結にすることは、犯罪者、被害者の人権を守ることにはならない。
これが、鈴木京香さんが演じる精神鑑定人、小川香深の主張である。

 刑法39条の意義のほかに、精神鑑定の意義や信憑性、裁判長・検事・弁護士といった裁判に関わる人々の役割や心情、戸籍管理の不備や売買問題、偽装結婚、児童虐待、貧困家庭に対する保護など、この作品を通して多くのことをに対する保護など、この作品を通して多くのことを知り考えることができる。役者一同、重いテーマを真面目に演じ訴えかけており、好感が持てる。

何より本当に、演技が凄い。
岸部一徳の世を蔑んだ皮肉なにやけ顔。
樹木希林の人権人権と言いながら上っ面だけ犯人擁護をなぞる、気のない弁護士。
江守徹の普段は気のない眼瞼下垂を演じながら勝負所になると、きりッと眼光鋭くなる検事。
佐藤恒治の密かにカフカに思いを寄せる若干自閉症気味の精神鑑定人。

誰も彼も演技が上手い邦画なんて見るの初めてかもしれない。
特にこの作品から大ファンになった堤真一さん。

森田監督の底力を見たような気がした。
森田芳光監督の最高傑作。
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