小さい頃、物心ついた時には父はいなくて。
小さいながら、
｢どーして、あたしにはお父さんがいないんだろう？｣
って思いました。
近所のお友だちにも、お父さんが居ない子がいて
その子は
｢お父さんは、お正月に帰ってくるよ｣
と、言っていました。
お正月になって
その子のお父さんは帰って来ましたが
あたしの所にはお父さんは来ませんでした。
保育園に上がり、年中組になった時、先生が代わりました。
あー、なるほど。
ヒトはみんな何かの『役』をしているんだ。
あたしはお母さんの娘の役。
お母さんはあたしの母の役。
そうか。
あたしのお父さん役のヒトはいるんだけど、
今はお家がわからなくて迷子なんだ。
あたしだって、保育園に行くようになった時は、お母さんに教えてもらわないと分からなかったもの。
だから、きっとそのうち
｢やぁ、ただいま。今日からボクがなみちゃんのお父さんだよ。｣
なんて感じで、帰って来るんだと思ってた。
いくら待っても お父さんは帰って来なかった。
七夕だかX'masだか忘れたけど。
『お父さんがなみの家に帰って来れますように』
ってお願い事を書いた。
母と先生がとても悲しそうな顔してた。
あぁ あたしがお父さんを欲しがると
周りのヒトは悲しくなるんだ。
それからは お父さんの事は言わないし
考えないようにした。